日産自動車の会長だった、カルロス・ゴーン氏が逮捕されて1週間近くが経過しましたが、会
社の私物化ぶりが明らかになってきております。
逮捕された容疑は、有価証券報告書への虚偽記載での金融商品取引法違反でしたが、実際に
は、虚偽記載というより、未記載だったようですね。
ゴーン氏は法的に問題がないとして、監査法人からの記載するべく指摘を拒否したようです。
東京地検特捜部も業務上横領か特別背任の方で起訴するのが狙いでしょうが、動機等の解明に
まだ時間がかかると思います。
日産側も長い間、問題を黙認していたようですが、なぜなんでしょうか。
ここでは、ゴーン氏と日産の関係、ルノーと日産の関係、ゴーン氏の今後についてみていきた
いと思います。
ゴーン氏と日産の関係
ゴーン氏の日産の私物化
ゴーン氏は、日産の最高執行責任者として日産にきた当初は、日産の再建の為に経営手腕を発
揮し、短期間で黒字化を達成し、日産の為に貢献してきました。
しかし、経営が安定してくると、ルノーや三菱自動車の経営責任者にもなり、報酬も莫大な額
になってきました。
日産では、約20年間も経営トップとして実権を持ち続けたことで、独裁者となり、会社の私物
化という行為に徐々に突き進んでしまったと思います。
上場企業のトップは、10年間ぐらいが一般的なので、それ以上行うと、色々と問題が起きやす
いです。
ゴーン氏は、権力を持ち続けたことで日産を支配するようになり、子会社を通して海外で住宅
を購入し、利用していたようです。
また、母親の住宅購入も日産から資金が出ていたり、姉との実体のないアドバイザリー契約に
より、日産から年間1000万円以上出ていたようです。
こうしたことが事実なら、会社の私物化といえそうです。
日産のゴーン氏の利用
日産は、なぜ約20年間もゴーン氏を経営責任者としたのでしょうか?
ゴーン氏の役割はとっくに終えていた筈ですが、やはり、日産もゴーン氏を利用していたと思
います。
日産のカリスマ経営者として、知名度も高いことから、ビジネスをする上でもメリットがあっ
たからだと思います。
ゴーン氏に倫理面で問題があっても、日産の看板としてトップにいた方が得策という判断があ
ったと思います。
ルノーと日産の関係
ルノーは利益の約50%を日産から配当という形で受け取っており、日産は経営上不可欠な存在
になっております。
フランス政府の意向もあり、ルノーは今後、日産を完全な子会社化にしたいようです。
ゴーン氏は、日産の子会社化には反対していて日産の独自経営を維持させたいようでしたが、
3社連合のトップの座を維持する為に、子会社化に動き出したようでした。
ゴーン氏を利用できなくなったことで、日産は、ルノーの子会社化を回避する為にゴーン斬り
に動いたと思います。
支配を強めようとするルノーに対して、日産は今の提携関係の維持か、独自経営のためにルノ
ーとの提携を打ち切り、関係解消を考えても不思議はないです。
両者間の考え方や思惑に大きな隔たりが出てきたことも、ゴーン氏逮捕の背景にあると思い
す。
ゴーン氏の今後
ゴーン氏の今後は、横領罪または、特別背任罪で起訴され有罪になると、実刑の可能性も十分
ありそうです。
有価証券報告書への虚偽記載だけなら、修正をすればいいだけですし、額が大きいとはいえ、
解釈論の問題にもなるので、実刑まではいかないと思います。
ただ、ダメだと認識しながらやっていたのなら話は別です。
既に日産や三菱自動車は、ゴーン氏を解任する動きが出ております。
ルノーは捜査状況を見ながら、解任は先送りしてますが、有罪判決なら、解任すると思いま
す。
今回の件で、イメージが悪化したので、ゴーン氏は実刑を免れたとしても、暫くは、従来通り
の活動はできないと思います。
有罪になると失うものや代償は大きそうです。
ま と め
1.ゴーン氏と日産の関係
- ゴーン氏は、権力を持ち続けたことで日産を支配するようになり、子会社を通して海外で住宅を購入し、利用していた
- 知名度も高いことから、日産もゴーン氏を利用していた
2.ルノーと日産の関係
- ルノーにとって日産は、経営上不可欠な存在になっている
- ルノーは今後、日産を完全な子会社化にしたい意向である
- 日産は今の提携関係の維持か、独自経営のためにルノーとの提携を打ち切り、関係解消を考えても不思議はない。
3.ゴーン氏の今後
- 横領罪または、特別背任罪で起訴され有罪になると、実刑の可能性も十分ある
- 今回の件で、イメージが悪化したので、ゴーン氏は実刑を免れたとしても、暫くは、従来通りの活動はできない
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